結論から言うと
Notionの世界観wikiは、ページを深く入れ子にしていくのではなく、「登場人物」「場所」「勢力」といった少数のフルページデータベースで作りましょう。各データベースには、絞り込みや並べ替えに使うプロパティだけを持たせ、データベース同士を双方向のリレーションで結び、ロールアップは実際に調べる問いのためだけに加えます。未解決の問いはリンクドビューで作ったホームページに集め、ページの形が繰り返すようになったらデータベーステンプレートを加えます。共有や公開の前には権限を確認してください。ページを公開するとそのサブページも公開され、CSVで書き出すとリレーションはプレーンテキストのリンクになります。
Notionの世界観は、「世界」という一枚のページから始まりました。半年後には入れ子になったページが40枚になり、そのうち3枚は「その他」という名前です。プロットの鍵を握る水門を誰が管理しているのかも、半分ほどのページを開かなければ答えられません。Notionが悪いわけではありません。ページの階層構造には、ある人物がある勢力に属している、ある場所に住んでいる、ということを知る手段がないだけです。
このガイドでは、そうしたつながりを中心に小さなwikiを作ります。内容は2026年10月11日時点で確認したNotionのヘルプセンターに基づくもので、実際に使って試したものではありません。構成は編集部からの提案です。例として使うのはSaltmereという架空の湿地の町で、海水を塩田に入れないための水門をめぐって、二つの勢力が争っています。
ページの階層ではなく、三つのデータベースから始める#
Notionでは、データベースはページの集まりです。追加した項目はどれも書き込みのできる独立したページで、日付、ステータス、リンクなどのプロパティでラベル付けされます(Intro to databases)。これこそ世界観wikiに必要な形です。Odile Sarrの項目には長い生い立ちを書きつつ、どの勢力に仕えているかを、絞り込みに使えるフィールドで示せます。
「登場人物」「場所」「勢力」の三つのフルページデータベースを作りましょう。フルページデータベースは、ほかのページと同じようにサイドバーに並びます。インラインデータベースは別のページの中に置かれ、カーソルを合わせるまで操作ボタンが表示されません(Intro to databases)。Saltmereは七つの記録から始めます。
- 登場人物: 水門番のOdile Sarr、塩商人の手先のCasimir Lusk。
- 場所: Saltmere、Lower Pans、Gate Nine。
- 勢力: Tide Wardens、Brine Guild。
四つ目のデータベースはまだ作らずにおきます。宗教、魔法のルール、出来事などは、数が増えて並べ替えや絞り込みをしたくなるまで、普通のページのままで構いません。
絞り込みに使うプロパティを少しだけ持たせる#
プロパティに存在する意味があるのは、それで絞り込み、並べ替え、グループ化をするときです。Notionのプロパティには、テキスト、数値、セレクト、マルチセレクト、ステータス、日付、リレーション、ロールアップなどの種類があります。セレクトはリストから一つを、マルチセレクトは一つ以上を選ぶものです(Database properties)。それ以外のことは、すべてページの本文に書きます。
| データベース | プロパティ | 種類 | 存在する理由 |
|---|---|---|---|
| 登場人物 | 確定度 | セレクト:確定、未定、没 | 決めたことと可能性を分ける |
| 登場人物 | 所属 | 「勢力」へのリレーション | 誰が誰に従っているか |
| 登場人物 | 拠点 | 「場所」へのリレーション(1ページに限定) | どこにいるか |
| 場所 | 管理する勢力 | 「勢力」へのリレーション | プロットの中心にある争い |
| 勢力 | 目的 | テキスト | 動機を一文で |
いちばん役に立つのは「確定度」です。「CasimirはOdileの異母兄弟かもしれない」という設定は、ある場面で決着がつくまで「未定」のままにしておき、フィルターを一つかければ未解決の問いがすべて一度に表示されます。項目が空のフィールドだらけになるなら、「Customize page」(ページのカスタマイズ)メニューで、空のときにプロパティを非表示にできます(Intro to databases)。
データベースを双方向のリレーションで結ぶ#
リレーションは、異なるデータベースの項目同士を結びます。初期設定ではリレーションは一方向ですが、作成時に「Show on [データベース名]」をオンにすると、相手のデータベースにも対応するプロパティが追加され、どちら側からでも編集できるようになります(Relations & rollups)。Odileのページで彼女をTide Wardensに加えれば、二度手間なしにWardensのメンバーにも彼女が表示されます。
世界観設定に向いた設定が二つあります。一つは、リレーションを1ページに限定する設定で、登場人物ごとに拠点が一つなら「拠点」に向いています。もう一つは、データベースを自分自身と関連付ける設定です。「登場人物」に「ライバル」というリレーションを作ればCasimirとOdileを結べ、双方向リレーションをオフにしておけば、一つのプロパティがどちら向きにも機能します(Relations & rollups)。
事実はリレーションに持たせましょう。Odileのページの冒頭の段落に「Wardensの一員」と書いてあるのに、後で「所属」プロパティがBrine Guildになっていたら、答えが二つあることになり、どちらが最新かを見分ける方法がありません。Obsidianの世界観設定ノートのガイドでも、事実ごとに置き場所をひとつにするよう同じことを勧めています。
実際に調べる問いのためにロールアップを使う#
ロールアップは、リレーションを通じて別のプロパティを読み取り、そこから計算します。選択肢には「Show original」「Show unique values」といくつかの件数の集計があり、数値なら合計(Sum)、最小値(Min)、最大値(Max)もあります(Relations & rollups)。追加するのは、何度も調べる問いに答えてくれるときだけにしましょう。
Saltmereでは、二つのロールアップに存在する意味があります。
- ここに人を置いている勢力はどれか。 「拠点」を作るときに、「場所」側にできる逆方向のプロパティを「ここにいる人物」と名付けます。「ここにいる人物」に対し、その人物の「所属」の一意の値を表示するロールアップを作れば、Gate NineにはWardensとGuildの両方がいることがわかります。だからこそ、この水門は重要なのです。
- 各勢力には名前のあるメンバーが何人いるか。 「勢力」で「メンバー」に「Count all」のロールアップを作ると、Brine Guildのメンバーは1人だとわかります。第7章までに、もう一人顔の見える人物が必要だというヒントです。
ヘルプセンターには、二つの制限が記載されています。ロールアップをさらにロールアップすることはできず、ロールアップで並べ替えができるのは出力が数値の場合だけです。自分の世界に独自の暦があるなら、日付プロパティより、年を入れる数値プロパティのほうが役に立つかもしれません。最小値と最大値は数値に対して機能するからです。その年のフィールドに何を記録すべきかは、年表のガイドで解説しています。
リンクドビューでホームページを作る#
ホームページは、毎回の作業の出発点です。そこに一覧を書き写すのではなく、データベースのリンクドビューを追加しましょう。リンクドビューでビュー、フィルター、並べ替え、グループを変更しても元のデータベースのビューには影響せず、ページやプロパティの編集は元のデータベースに反映されます(Data sources & linked databases)。
Saltmereのホームページには、三つのビューを置きます。
- 未解決の問い: 「登場人物」を、「確定度」が「未定」のもので絞り込んだビュー。
- 誰がどこにいるか: 「登場人物」を「拠点」でグループ化したボード。
- 第7章: 「場所」を、Gate NineとLower Pansで絞り込んだビュー。
ビューはそれぞれ独自の設定を持ち、フィルターは全員向けに保存することも、自分だけのものにしておくこともできます(Views, filters, sorts & groups)。カレンダーのレイアウトは日付プロパティで項目を並べるので、現実の日付を使わない世界では、あまり役に立たないかもしれません。
新しい機能を加える前に、それがどの問いに答えるのかを照らし合わせましょう。
| 調べたい問い | Notionの機能 | Saltmereでの例 |
|---|---|---|
| 誰がどの勢力に属しているか | 双方向のリレーション | OdileとTide Wardensが互いを一覧に表示する |
| この場所に人を置いている勢力はどれか | 一意の値を表示するロールアップ | Gate NineにWardensとGuildが表示される |
| まだ決まっていないことは何か | セレクトプロパティで絞り込んだリンクドビュー | 「確定度」が「未定」 |
| 本文のどこでこの場所に触れているか | @メンションとバックリンク | Gate Nineの名前が出てくる場面メモ |
| 既存の種類の項目をもう一つ追加するには | データベーステンプレート | 下で紹介する登場人物のテンプレート |
ページの形が繰り返すようになったらテンプレートを加える#
最初の三人の登場人物のページは、手で書きましょう。どの見出しを埋めているかがわかったら、それをテンプレートにします。「New」の横のドロップダウンを開き、「+ New template」を選んで、プロパティの値とページの内容を設定します。テンプレートにはどんな種類のコンテンツでも入れられ、使えるのは作成したデータベースの中だけです(Database templates)。
Saltmereの登場人物テンプレートなら、「確定度」を「未定」に設定し、見出しを四つ置くとよいでしょう。
何を望んでいるか
何を恐れているか
ほかの人が知らないことで、知っていること
物語での役割
テンプレートでは、リレーションのプロパティを空にしておきます。Notionのヘルプによると、リレーションを入力したままにすると、そのテンプレートから作ったすべてのページが同じ既存のページと関連付けられます。新しい登場人物が全員、いつの間にかTide Wardensに加わってしまうわけです。どんな問いを見出しにする価値があるかは、キャラクター設定のガイドを参考にしてください。
一つの変更をSaltmere全体に反映させる#
第3稿で、Brine Guildが嵐の前に賄賂を使ってGate Nineの管理権を手に入れていた、と決めたとします。この変更を反映させていきましょう。
- Gate Nineで、「管理する勢力」をTide WardensからBrine Guildに変えます。リレーションは双方向なので、Guildのページも更新されます。
- Gate Nineのバックリンクを開きます。Notionはページを@メンションするたびにバックリンクを作り、ページのタイトルの下、データベースのページならプロパティの中に表示します(Links & backlinks)。「@Gate NineはWardensの誇り」と書いた場面メモは、もう誤りです。
- 「Wardensの水門」のような言い回しでワークスペースを検索します。ページをメンションしていないプレーンテキストには、バックリンクが残りません。
- Odileを確認します。自分の勢力がもう管理していない水門を彼女がまだ守っているなら、記憶を頼りに場面を継ぎはぎするのではなく、その問いを「未定」に戻します。
手順2が機能するのは、場所の名前を手で入力せずに@メンションしている場合だけです。この習慣は40枚目ではなく、1枚目のページから身につけましょう。
Notionのwikiが古びていく原因となる失敗を直す#
| 失敗 | 対策 |
|---|---|
| ページを5階層も入れ子にする | 項目はデータベースに入れ、移動にはホームページを使う |
| 貴族用と平民用で別々のデータベースを作る | 「登場人物」データベースを一つにし、セレクトプロパティで分ける |
| すべての項目にプロパティが20個ある | 絞り込みに使うものだけを残し、空のものは非表示にする |
| 場所の名前をメンションせずに手で入力する | バックリンクで見つけられるよう@メンションする |
| テンプレートでリレーションを入力しておく | 空にしておき、ページごとに設定する |
| 秘密を含んだままwikiを公開する | ページを公開するとサブページも公開されるので、先に秘密を移すか、アクセスを制限する(Notion Sites) |
| CSVの書き出しを完全なバックアップとみなす | リレーションはプレーンテキストのURLとして書き出され、現時点では、CSVをインポートしてもリレーションは再現できない(Relations & rollups) |
プロジェクトと人数に合わせてwikiの規模を決める#
長編1作。 たいていは、三つのデータベースとホームページで足ります。「世界設定」や「出来事」を四つ目のデータベースにするのは、その種類の項目が十数件になってからにしましょう。
シリーズもの。 「作品」データベースを加え、「登場人物」から「登場作品」のリレーションを作ります。「Count all」のロールアップで、2冊以上に登場している人物がわかります。シリーズの資料に何を記録すべきかは、シリーズの設定資料集のガイドで解説しています。
ネットにつながらない場所で書く。 オフラインで使えるのはNotionのデスクトップ版とモバイル版のアプリで、ブラウザでは使えません。ページを「Available offline」(オフラインで利用可能)に設定しますが、サブページは自動ではダウンロードされず、データベースは最初のビューの先頭50行しか保存されません(Use pages offline)。いちばん必要なビューを最初に置いておきましょう。
共著者やゲームのグループ。 権限レベルには、データベースの構造を変えずにページやプロパティの値を作成、編集できる「Can edit content」や、閲覧のみの「Can view」があります。ゲストには自分のNotionアカウントが必要です(Sharing & permissions)。「Lock database」(データベースをロック)を使うと、ほかの人がプロパティや選択肢の値を変更できなくなります(Intro to databases)。絞り込んだリンクドビューは、プライバシーを守る手段にはなりません。元のデータベースのアクセス権限に従うため、そもそも見るには元のデータベースへのアクセス権が必要です。ネタバレは、プレイヤーが開けないページに置いておきましょう。
コピーを手元に残す。 バージョン履歴を使えばページを以前の版に戻せますが、どこまでさかのぼれるかはプランによって異なります(Delete & restore content)。ページをHTML、PDF、またはMarkdown(データベースはCSV付き)で書き出すこともできます(Export your content)。ときどきwikiを書き出し、ファイルを開いて、何が残っているかを確かめてください。
出典
- Notion: Intro to databases · 2026年10月11日
- Notion: Database properties · 2026年10月11日
- Notion: Relations & rollups · 2026年10月11日
- Notion: Data sources & linked databases · 2026年10月11日
- Notion: Views, filters, sorts & groups · 2026年10月11日
- Notion: Database templates · 2026年10月11日
- Notion: Links & backlinks · 2026年10月11日
- Notion: Publish a website with Notion Sites · 2026年10月11日
- Notion: Use pages offline · 2026年10月11日
- Notion: Sharing & permissions · 2026年10月11日
- Notion: Export your content · 2026年10月11日
- Notion: Delete & restore content · 2026年10月11日